皆さんこんにちは、横浜で清掃業をしているヤスです。
工事が終わったら、案件表のステータス(案件の進み具合を表す欄)を「完了」に変える。月末になったら「完了」の行を拾って、請求書を作る。
でも、ステータスを変え忘れた案件は、その一覧に最初から出てきません。
このシリーズの第1話では、「請求漏れ」を見つける仕組みを作りました。6本目の今回、同じ「請求漏れ」のテーマに戻ってきました。
今回の仕組みは、ステータスを見ません。代わりに、案件フォルダに請求書のPDFがあるかどうかで判定します。そうしたら、ステータスが「見積中」のまま放置された案件を「至急」として拾えました。さらに、テスト用に仕込んでいない矛盾まで2件浮かび上がってきました。
※この記事に登場する会社名・人名・金額は、すべて練習用に作った架空のダミーです。実在のお客様や実際の取引の話ではありません。
完成形:完了した案件のうち、請求書がないものを色分けで出す
案件管理シートを1行ずつ見る
↓
工事が完了している案件だけを対象にする
↓
案件書類フォルダに請求書PDFがあるか確認する
↓
完了日からの経過日数で優先度を判定する
↓
「請求対象」シートに色分けで書き出し、未請求の合計額を出す
使ったのは、GAS(Googleのサービスを自動で動かすためのプログラム)、Googleスプレッドシート、Googleドライブです。今回はAIを使っていません。
判定は5種類にしました。
| 判定 | 条件 |
|---|---|
| 至急 | 完了から30日以上、請求書なし |
| 要請求 | 完了から7日以上、請求書なし |
| 様子見 | 完了から7日未満、請求書なし |
| 請求済 | 請求書PDFがある |
| 完了日が未入力 | ステータスは完了なのに、完了日が空欄 |
実行すると、7件が抽出されました。
- 2026-018:至急(完了から61日、198,000円)
- 2026-019:要請求(完了から11日、36,000円)
- 2026-020:様子見(完了から4日、61,600円)
- 2026-004:請求済(完了から41日)
- 2026-006、2026-010、2026-012:完了日が未入力
シートの末尾には、請求書がまだない案件の金額を足した合計を出すようにしました。
未請求の合計:295,600円
(至急198,000円+要請求36,000円+様子見61,600円)
「いくら請求し忘れているか」が、1つの数字で見えるようになりました。

きっかけはこれまでと同じで、クラウドワークスで見た設備工事会社の募集です。稼働条件が合わず応募は見送りましたが、書かれていた業務を練習教材として1つずつ作っています。今回は「見積書・請求書作成の効率化」の最後の項目、「請求対象案件の抽出」にあたります。
第1話との違い:ステータスを信じない
第1話の対応待ち一覧にも、「請求漏れ」の項目がありました。ただ、あのときの判定は「ステータスが『完了』のままになっているか」だけでした。
この作りには弱点があります。人がステータスを更新し忘れていたら、その案件は「完了」にならないので、請求漏れとして上がってきません。
今回は、見るものを変えました。
- 第1話:ステータスが「完了」のままか(人が更新する欄)
- 今回:完了日から何日たったか、請求書PDFがフォルダにあるか
請求書を作れば、フォルダにPDFが残ります。ステータスを更新し忘れても、PDFがあるかないかは変わりません。人の入力に頼る部分を1つ減らした、ということです。
作り方①:完了日は人が入力する
工事が実際に終わった日を、どこから取るかで迷いました。案は3つありました。
- A:案件管理シートに「完了日」の列を足して、人が入力する
- B:工事予定日を完了日とみなす
- C:報告書PDFの作成日時を完了日とみなす
Aを選びました。請求は金額が絡むので、推測で日付を決めるべきではないと考えたからです。
ただ、Aには「入力を忘れると動かない」という弱点があります。そこで、完了日が空の案件は「完了日が未入力」として別枠に出すようにしました。第3話の不足書類チェックで「分類不能」の枠を作ったのと同じ考え方です。判定できないものを、無理に判定しません。
列は、工事予定日の隣に足しました。
作り方②:金額は、第5話の照合結果を使い回す
未請求の金額を出すには、案件ごとの金額が必要です。
第5話で作った「発注照合」シートには、案件ごとの見積金額と発注金額がすでに入っています。PDFを読み直さず、そこから金額を引っ張ることにしました。発注金額があれば、そちらを優先します。正式な契約額だからです。
2026-019が36,000円になっているのはこのためです。第5話で「税抜で発注された」ダミーとして作った案件で、見積は39,600円、発注は36,000円でした。
これで、実行が4秒で終わりました。第5話の照合は、同じ9件で2〜3分かかっていました。実行のたびに、全部のPDFを文字に変換していたからです。
一度読み取った結果を残しておいて、使い回す。当たり前のことですが、差ははっきり出ました。

作り方③:ステータスの更新漏れを、わざと仕込む
案件管理シートに完了日を入れて、5件分のテストデータを用意しました。
| 案件番号 | 完了日 | ステータス | 請求書 | 狙い |
|---|---|---|---|---|
| 2026-018 | 61日前 | 見積中(更新漏れ) | なし | 至急 |
| 2026-019 | 11日前 | 見積中(更新漏れ) | なし | 要請求 |
| 2026-020 | 4日前 | 完了 | なし | 様子見 |
| 2026-004 | 41日前 | 請求済 | あり | 請求済 |
| 2026-006 | 空欄 | 完了 | なし | 完了日が未入力 |
2026-018と2026-019は、ステータスを「見積中」のままにしました。第4話の仕組みで見積書を作ったときに自動で「見積中」として登録され、そのあと誰も更新していない、という状態です。ありがちな「ステータスの更新漏れ」を再現しました。
結果①:「見積中」のまま放置された案件を、「至急」で拾えた
2026-018は、工事が終わって61日たっているのに、ステータスは「見積中」のままでした。
第1話の仕組みは「完了」のステータスを探すので、この案件は最初から対象外です。見逃していたことになります。
今回は完了日と請求書の有無で判定したので、「至急」として拾えました。198,000円の案件です。
人の入力に頼る部分を減らすと、見逃しが減る。今回いちばん伝えたかったのは、このことです。
結果②:仕込んでいない矛盾が、2件浮かび上がった
ここからが、今回いちばんの発見です。
「完了日が未入力」の枠に、仕込んだ2026-006のほかに、2026-010と2026-012が出てきました。テスト用に用意した5件には入っていない案件です。
中身を確かめると、どちらもステータスは「請求済」なのに、フォルダに請求書PDFがありませんでした。
2026-012には心当たりがありました。第3話の不足書類チェックで、「請求書がない案件」として仕込んだダミーデータです。あのときは「書類が足りない」という角度で見つけた案件が、今回は「請求済のはずなのに請求書がない」という別の角度から、もう一度浮かび上がってきました。
実務なら、ここは確認が必要な案件だと思います。請求書を紙で出して、PDFを保存し忘れたのか。それとも、ステータスを付け間違えたのか。どちらにしても、ステータスだけを見ていれば「請求済」で終わりますし、書類だけを見ていれば「請求書がない」で終わります。
ステータスと書類、どちらか片方だけを見ていたら、この食い違いには気づけません。
今回は「完了日が未入力」の枠に紛れて出てきましたが、本来は「ステータスと書類が食い違っている」という判定を、別に作ったほうがよさそうです。これは次の改善点として残しています。
細かいつまずき
今回は、大きなつまずきがありませんでした。細かいものだけです。
- 「完了日」の列をどこに足すかで迷った。列は見出し名で探す作りにしていたので、位置はどこでもよかった。ただ、既存の仕組みが4つ動いているので、列の挿入で位置がずれるのを避けて、右端ではなく工事予定日の隣に追加した
- 2026-020は見積書を作っていない案件だったので、案件管理シートに行がなかった。手で追加した
まとめ:一周して分かったこと
今回の手順をまとめます。
- 案件管理シートに「完了日」の列を足し、人が入力する
- 案件フォルダに請求書PDFがあるかどうかで、請求済かを判定する
- 完了日からの日数で、至急・要請求・様子見に分ける
- 完了日が空の案件は、無理に判定せず別枠に出す
- 金額は、前に作った照合結果のシートから読む
第1話で「請求漏れ」を扱ってから、メールの読み取り、案件の登録、書類チェック、見積書、発注照合と作ってきて、また請求に戻ってきました。一周してみて、第1話の仕組みはステータスという「人が更新する欄」に頼りきっていたことに気づきました。
最初の一歩としては、自分の案件表でステータスが「請求済」になっている行を3つ選んで、実際に請求書のファイルがあるか確かめてみることをおすすめします。仕組みを作る前に、ステータスと書類が食い違っていないかを、手で見てみるだけで十分です。
私の本業の清掃業に置き換えるなら、「定期清掃が終わったのに、まだ請求していない現場」を抜き出すのに使えそうだと考えています。
次に何を作るかは、まだ決めていません。募集に書かれていた業務のうち、残りは「日程調整」と「ファイル管理」です。もう1つ、仕組みが増えて毎朝届くメールが3通になったので、これを1通にまとめる回も候補にしています。
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